遺言公正証書

遺言書がない場合の遺産分割は、遺産分割協議公正証書の項目で述べておりますように、被相続人を中心とした家族史の総決算、家族関係の崩壊過程における人間関係の清算という面があります。ですから、長い年月が積み重ねられた家族史を反映した争いが絶えません。そうした争いを事前に防止する対策を講じておかれるのが、被相続人の責務であると私は思います。

法律を遵守しながら、家族の中で積み重ねられた人間関係の歴史を尊重した分割の意思を残されることは、家族の争い・崩壊を最低限に抑えることができます。

被相続人ために尽くしてくれた人、あるいは資産形成に特別努力してくれた人に感謝の気持ちで遺産を遺したい。あるいは人生の苦楽を共にした家族が遺産を巡って争いが発生し、家族関係が崩壊するのを防止したい、という思いを「遺言書」という形にして残すことは 被相続人の務めでもあると思います。

遺言書には、「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」「公正証書遺言」がありますが、「自筆証書遺言」が一般的です。ただ、これは家庭裁判所の検認が必要であり、しかも何度書いても自由ですので、紛失・偽造等の危険性があります。

また、「秘密証書遺言」は公正証書の一種ですが、遺言者が署名(自署)することができないときはこの方式は利用できないこと、公証人は遺言書の内容を知ることはできないので、例えば証人の欠格事由のチェックができないなど、遺言書が無効になる可能性があるため利用者は多くありません。

それに比べ「公正証書遺言」には、そうした危険が全くないので、遺言書としては「公正証書遺言(遺言公正証書)」をお薦めします。

公正証書遺言は、1)証人2名以上が立ち会い、2)遺言者が公証人に、遺言の趣旨を口授し、3)公証人が遺言者の口授を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、4)遺言者及び証人が筆記が正確であることを承認したあと、5)公証人がその証書が適正な手続きに従って作成されたものである旨を付記して、これに署名押印することによって成立します。

ただ、公正証書遺言は秘密証書ではないので、遺言内容が証人から外部に漏れるという欠点があります。漏れることを前提にした遺言であれば問題はないのですが、漏れることを望まない場合は、証人を選ぶときに、法律で秘密厳守を義務づけれられている専門家を指定されることをお薦めします。

私ども行政書士を証人に選んでいただければ、秘密が厳守される(行政書士法第12条)という最大のメリットを受けられるだけでなく、報酬の面でも極めて満足いただけます。
(遺言の内容として、抽象的に、「相続財産の三分の一を遺贈する」 といった書き方だと、誰が、どの財産を、どういう状態でもらうか 等の協議が必要になり、それが争いの元になります。したがって、 遺言書の書き方としては、相続人の氏名を具体的に示し、各相続人 毎に、具体的にどの財産をどのくらい相続させるのか、分配方法を 指定しておく方が重要です。)

「自筆遺言証書作成の心得」


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遺産分割協議公正証書

遺産分割協議は、被相続人の遺産の分割が目的ですが、実際は被相続人を中心とした家族・親族の崩壊過程における人間関係の清算という面があります。ですから、法律を遵守しながら、家族・親族の中で積み重ねられた人間関係の歴史を尊重した分割を行い、同時に、後で争いにならないように、合意内容を「遺産分割協議公正証書」にしておくことをお薦めします。最低限、「遺産分割協議書」は作成しておくべきだと思います。

遺産分割協議書は必要不可欠な書類ではありません。しかし、遺産の分割は後で紛争になることが多いので、証拠として残すために作成したが断然よいと思います。

また、土地・建物など移転登記が必要なものは、登記の際に添付書類として、遺産分割協議書が必要ですから、いずれにしろ作成が必要ということになります。

遺産分割協議書は全相続人の一致が必要です。相続人全員が署名し、印鑑登録済み印を押印します。それに、全員の印鑑証明書を貼付します。

完成した遺産分割協議書は、相続人全員が1通ずつ所有します。

相続人全員が集まるのが困難なとき、相続人の一人が分割協議書の原案を作って、全相続人を回って承諾をもらい、署名押印をもらう方法もあります。

遺言書で、遺言執行者が指定されておれば、遺言執行者が遺言書通りに遺産分割を執行します。

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